音楽と漢詩の話題2つ

その1【品格】

パブロ・カザルスのバッハ「無伴奏チェロ組曲」第4番変ホ長調BWV1010 


11年前、最初に劉宝順製作の岩茶「大紅袍」を口に含んだとき、突如として聞こえてきたのがカザルスのバッハでした。

以来、岩茶の杯を重ねながら秘蔵のカザルスのLPを聴くのが、わたしにとって最も贅沢な休息の時間となっています。


パブロ・カザルスと劉宝順、どちらにも実際にお会いしたことはないのですが、共通する人物像があります。

それは、品格の高い人、です。


カザルスの音楽を聴き、劉さんの岩茶を愉しむに相応しい自分でありたい。


そしてわたしも品格の高いクリスタルボウル演奏ができるようになりたい。


そう思う休日の昼下がりです。


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その2【今宵の岩茶と漢詩】

秋夜寄丘二十二員外  (韋應物)


憶君屬秋夜 (君を憶ふは 秋夜に属し)

散歩詠涼天 (散歩して 涼天に詠ず)

山空松子落 (山空しうして 松子落つ)

幽人應未眠 (幽人 応に未だ眠らざるべし)


夜道を高下駄で散歩してきました。少し冷えますね。

帰ってから岩茶「不見天」(2011年産)で暖まりました。

不見天はその名の通り、天の見えないほどの谷底に育つ岩茶ですが、高くそびえる岩山の天辺から更に天を高く見上げるような、力強い爽快感をわたしは感じます。


ふと思い浮かんだのが、この韋應物の詩でした。

丘二十二員外というのは、隠棲した作者の友人です。

秋の夜長の散歩中に、彼は友を想い出したのでしょう。

友を想って眠れぬ今宵、きっと彼もわたしを想ってまだ眠っていないに違いない。

離れても消えることのない、心の絆を感じます。


ところで、なぜかわたしは秋にはブラームスをよく聴きます。

深いところに穏やかな憂いを含んだ優しさがよく合うと思うのです。

今宵はクラリネットといえばこの人、レオポルト・ウラッハのクラリネットソナタ第2番です。

イェルク・デームスの抑えても豊かな伴奏がまた素晴らしく、クラリネットとピアノが想い合う親友のように、いや恋人のようにも感じられる名演奏だと思います。


秋の夜長、あなたは誰を想いますか。



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